Report
12日間でぎゅっと詰め込んだ中央ヨーロッパの植物採集オーストリア編です。
ヨーロッパの冬は長いのです。その時期、街にほとんど緑は見られない。だからこそ南国世界への憧れを、ひょっこり現れる温室から感じたり。体を温めるハーブの料理を味わったり。今回はそんな植物採集でした。
美しいバタフライガーデン パルメンハウス!
チェコプラハからオーストリア ウィーンへ。どうしても、どうしても行きたかったパルメンハウスへ早速GO!
Palmenhaus(パルメンハウス)とはドイツ語で温室のことを意味しており、ウィーン1区という都市の中心部にあるBurggarten(ブルクガルテン)の中の温室レストラン。どうしても、ここに来たかったのです。
植物採集 in ベトナム 前編 のダナン・ホイアン編 でも登場したバタフライガーデン。こちらの温室にも併設され、私の植物採集はいつもバラフライと隣り合わせのようです。
ガラス1枚隔てた先はひらひら蝶の舞うパラダイス Schmetterlinghaus シュメッタリングハウス。ブランチタイム、ゆったり。音もしないけれど、蝶が舞っている気配を感じるのはとても不思議な体験でした。
東京にいて、カフェにいると打ち合わせや友達とのおしゃべり。必死で原稿を書いていたりするので、その場所の「空気」や人間以外の「気配」に意識を向ける時間を作ることはなかなか難しいですよね。
建築学科卒業である私は、現地の建築家が建てた空間を必ず訪れることにしています。こちらはルードヴィヒ・フォン・レミーというオーストリアの建築家によって設計されました。 高い天井まで続く緑のライン。
蝶の舞うパラダイス Schmetterlinghaus
訪れたのはまだ寒さの残る3月初旬ですが、お日様の光は春を感じさせてくれました。チェコプラハからの移動の疲れも吹き飛んで、レストラン横にあるシュメッタリングハウスへGO! どこもかしこも蝶が舞ってシャッターチャンスだらけ。
最後は汗がビッジョリになって小さくて大きな温室パラダイスを後にしたのでした。
音楽も都ウィーンに早くも飽きてしまいそう?!
植物はもちろん、デザイン、工芸、建築が大好きな私ですが音楽全般に疎く…
ヨーロッパは何カ国も巡っているし、前の滞在のチェコも堪能したのですが…
早くもウィーンに飽きてきてしまった予感。
街並みは美しく、オーストリア最古の薬局に行ったり。
近代アートや、クリムトを見たり。
もちろん、非日常を楽しんでいたのですが…独立してから三年間、旅をしながら仕事をする非日常が当たり前になり、ちょっとだけ感覚が麻痺してきてしまったのでしょうか。日常にも潜む「なんだかコレジャナイ感」が、まさか日本から離れたオーストリアで訪れようとは…
音楽の街で音楽が楽しめないからなのか。綺麗すぎる街は好みじゃないのだろうか。なぜなんだろう、とモヤモヤした数日が続きました。
答えは、日常の中に溢れている
旅に出て、特別を探し続けた私。当たり前ですよね、年度末前の忙しい中、お金も時間も労力もかけてきたんだから。特別な何かを見つけたい。とっておきの時間を過ごしたい。一つでも多く学びたい。欲張りな気持ちがすごく強くなってしまっていて。
そんな時にhenzls ernteに出会ったのです。彼女のお店は野生のハーブで溢れていました。全くわからないドイツ語だけれど
「英語でこの植物はこういうのよ。」
「今回のジャムは大成功だから食べてみて!」
嬉しそうに真剣に伝えてくれる彼女にハッとさせられました。
そうだ、この感覚。
私が求めているものは、いつも世界中の誰かの「日常」に潜んでいる。
3月から11月の間の収集シーズン、彼女は毎週Wild plantsを採集しに行くそう。
私に出会ったタイミングは、まさに収穫スタートの時期。彼女にとって最高の時期がスタートする時だったのです。誰かの大切な毎日に触れる時、私は一番感動するのです。
その後も、オリーブを自ら作っている紳士に出会って。最高のオリーブオイルをテイスティング。「このオイルは調理に使わず、サラダにかけるだけにしてね」ととっても愛情詰まったこだわりを念押しされたり。新しく作ったザクロジュースを薦めてもらったり。
そんな中に潜む植物の力を発見し、デザインして、伝えていく。自分のしたいことを改めて気付かせてくれたオーストリアの植物採集でした。
1988年オーストリアで創設のSONNENTORのお店に行ってたくさんのボタニカル商品に触れて大満足!次回は、オーストリアリンツとハンガリーブタペストを紹介します。